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【中学受験】読解問題における比喩表現の読み取り方

最終更新
【中学受験】読解問題における比喩表現の読み取り方

中学受験国語でよく出題される「比喩」の問題は、苦手とする小学生が少なくありません。本稿では、その「比喩」に注目し、どのように読み解いていくかを問題の構造からわかりやすく示していきます。

出題例と解き方のポイント

まずは、出題例を見ていきましょう。
海城中学校2020年度第1回の問題です。

小学校に上がった「仲良し二人組」の杏美と香奈枝。秋の学芸会で『白雪姫』の上演が決まり、配役の話が進みます。白雪姫は五人で務め、十の台詞を一人二つずつ受け持ち、ナレーターには三つの台詞があります。

杏美は本当は白雪姫に惹かれていましたが、香奈枝に何に立候補するか問われると、つい「ナレーター」と答えてしまいます。

幼いころ、母から「あなたは不器量だから、しっかり勉強して、みんなの役に立つ仕事に就かないとね」と言われた記憶が胸に残っていたからです。

配役や衣装の話題が出る中、白雪姫だけがドレスを着られることもわかり、やがて香奈枝が思いがけないことを言い出します。

「あずちゃんも一緒に白雪姫やれば、一緒に練習できるよ」
 「え...?」
 杏美は困った顔を作った。
 「やろうよ、やろうよ」
 「でも......どうしようかな」
 ⑤ 甘ったるい食べ物を不意打ちで舌にのせられたような気がした。

問五 ----線部⑤「甘ったるい食べ物を不意打ちで舌にのせられたような気がした」とあるが、この時の杏美の気持ちを説明したものとして適当なものを、次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

ア あきらめていた白雪姫役が思いがけず演じられるようになったことを喜びつつ、どう演じたらよいのかと迷っている。
イ いきなり白雪姫役をおしつけてくる香奈枝に不快感を抱き、それでも役を引き受けるしかないとうんざりしている。
ウ 香奈枝と同じ衣装で演じられるうれしさから立候補を前向きに考える一方で、役自体にはまだ好感を持てずにいる。
エ 自分には縁がないと思っていたはなやかな役を一緒にやろうと急に言われ、照れくさく感じつつとまどっている。

(出典:海城中学校2020年度第1回 朝比奈あすか『君たちは今が世界』より)

① 傍線部が比喩表現であると理解する。

まず大前提として、傍線部が比喩表現であることを理解する必要があります。
比喩には「隠喩・明喩・擬人法・暗示・象徴」などいくつかの種類がありますが、ここでは「比喩」として統一して話を進めます。

大人にとっては当たり前のように比喩表現だと理解できる文章でも、小学生は文字どおりに受け取ってしまうことがあります。つまり、「香奈枝が突然甘い食べ物を口に押し込んできた」と、前後の文脈を無視した回答になってしまうことがあるのです。

② 分割する

比喩表現は言葉を一つずつ細かく読み取ることが基本となるため、「分割する」ことが大切です。先ほどの問題で言うと、

「甘ったるい食べ物」 → 「甘ったるい」/「食べ物」

このように分割して、それぞれの言葉の意味を考えます。ここで「甘ったるい食べ物」のまま一塊として考えると、「甘ったるい」に着目できず、誤答につながることがあります。

しかし、「甘ったるい」「食べ物」と分けて言い換えることで、「甘ったるい」の意味を明確に考える習慣がつき、より精密な言い換えが可能になります。

また、分割によって言い換えられていない要素を含む選択肢を外すこともできます。

  • ア:「あきらめていた」は、分割した要素の言い換えとしては読み取りづらい。
  • ウ:「立候補を前向きに考える」も、分割要素の直接の言い換えとは言いにくい。

このように考えることで、「選択肢に言い換えられた言葉があるかどうか」を判別できる新たな視点が身につきます。ぜひ、この見方を習得してください。

③ 言い換える

分割したあとは、いよいよ言い換えていきます。一つ一つの言葉の意味を正しく捉えながら文章を構成しましょう。

甘ったるい/食べ物を/不意打ちで/舌に/のせられたような気がした。

  • 甘ったるい ...(不器量な自分には)はなやかすぎる
  • 食べ物を ... 白雪姫役を
  • 不意打ちで ... 突然・急に
  • 舌に ... 自分にのせられたような気がした ... 提案され、戸惑いながらも照れくささを覚えた

このように順番に言い換えていくことがポイントです。前後の文章を参考にしながら、それぞれの言葉が何を指しているのかを考えることで、正しい選択肢を選べるようになります。

例:
エ「自分には縁がないと思っていた/はなやかな役を/一緒にやろうと/急に言われ/照れくさく感じつつとまどっている」

→ すべての要素を含んでいるため、正しい。

④ 比喩表現の読み取り方。

比喩表現がうまく読み取れない場合は、次の三つの視点で考えてみましょう。

  1. 働き

たとえば、9月から10月にかけて販売される「月見バーガー」は、目玉焼きを月にたとえています。根拠は、色(黄色が月の色合いに近い)と形(丸い)にあります。だから「月見」と言われても違和感がないのです。

また、のび太くんの服を想像すると黄色が思い浮かびませんか。実は黄色には「嘴(くちばし)が黄色い」という慣用句(年が若く経験が浅い人、未熟な人という意味)があるように、幼さや未熟さを表す色のイメージがあります。

のび太くん、ミニオンズ、『鬼滅の刃』の我妻善逸など、どこか幼さや未熟さを感じさせるキャラクターに黄色が多いのもそのためです。

他にも、「上り坂」は困難や挑戦の比喩として描かれます。

これは「上り坂」を「働き」の効果で見たものです。こうした知識を持っているだけで、問題は圧倒的に解きやすくなります。

さらに詳しく知りたい方は、SS-1の学習カウンセリングをご活用ください。

⑤ 比喩表現の言い換えを家で練習する。

比喩を正しく読み取るには、ご家庭での練習が不可欠です。まず、その週に塾で扱った文章で構いませんので、比喩を見つけたら波線を引いておきましょう。抜き出しで問われることも多いので注意が必要です。

次に、その波線部分の言い換えを保護者の方と一緒に考えてみてください。子ども一人では難しい言い換えも、大人が伴走することでイメージがつかみやすくなります。色・形・働きに着目しながら「分割して言い換え」----これを合言葉にしてください。

⑥ 低学年からの学習が鍵となる。

比喩表現は低学年から鍛えることのできる力です。実際、学校教育でもかなり低学年から比喩に触れる機会が設定されています。

たとえば、レオ・レオニ『スイミー』の一節にある----

「水中ブルドーザーみたいないせえび」

(出典:レオ・レオニ『スイミー』より)

これを「働き」として考えると、

  • かたくて丈夫
  • 重くて大きく、力強い
  • 土や石を集めて動かす・どかす

こうした働きの共通点があるから「水中ブルドーザーみたいな」と言っているのです。これを保護者の方と一緒に考えるだけでも、学習は非常にスムーズになります。

このように、比喩は低学年の段階から学んでいます。早めに言い換えの型を身につけておくと、高学年で苦労しません。

最後に

比喩に波線を引きながら読み、比喩が出てきたタイミングで「これは比喩だ!」と見抜く。次に分割し、最後に言い換える。そこに色・形・働きの視点を重ねれば、選択肢はぶれずに選べます。

もし「どう言い換えればいいか」で手が止まりやすい場合でも、読解タイプに合わせて練習の順序や問いかけ方を工夫するだけで、手応えは大きく変わります。必要に応じて、学習カウンセリングや指導の場で型の定着をお手伝いします。

比喩でお困りの際は、ぜひSS-1の学習カウンセリングにお越しください。

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この相談に答えた講師
田畠 靖大(Tabata Yasuhiro)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)国語科講師。関東にあるSS-1白金台教室、渋谷教室、お茶の水教室や、オンライン教室でも全国の生徒さんを指導しており、毎年難関中学に送り出しています。担当教科は国語・算数。論理性を重視しながらも、ソフトな語り口でお子様の課題解決に取り組みます。テストでの得点向上のみならず、科目の根本理解、体系理解を実現、得意科目に仕上げていきます。

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