中学受験国語でよく出題される「比喩」の問題は、苦手とする小学生が少なくありません。本稿では、その「比喩」に注目し、どのように読み解いていくか...
模試や過去問を見返すと、記述だけが空欄のまま残る。時間は使っているのに、いざ書く段になると手が止まる。
こうした現象は、最近の生徒によく起こりがちです。今回は、記述が白紙になる原因を2つに切り分け、それぞれに対して今日からできる実践的な解決策をご紹介します。
生徒に「なぜ記述が書けなかったのか」と尋ねると、多くの場合は「時間が足りなかったから」という答えが返ってきます。ところが、この「時間不足」という言葉は実に多義的であり、単純に「読むのが遅い」「解くのが遅い」といった一因で片づけられるものではありません。
むしろ、複数の小さな要因が積み重なり、最終的に「時間切れ」という形で表面化することが多いのです。指導の現場で精緻に分析すると、時間不足の背後には大きく分けて三つの行動特性が存在します。
読解の基礎は「読むスピード」です。一般的に入試問題を最後まで処理するには、分速500〜600字が一つの目安となります。これを下回る場合、文章を読むだけで時間を消費し、解答のために必要な「思考」「記述」へ時間を回せなくなります。
読む速さは単に「スピードが速い」ということではなく、「内容を保持しながら読む速度」を意味します。つまり、文字を追うだけの速読ではなく、理解を伴った読書速度のことです。家庭でのチェック方法としては、普段使っている国語テキストを用い、制限時間を区切って音読・黙読させ、実際に何文字読めているかを測定するとよいでしょう。
次に注意すべきは、選択問題に過剰な時間をかけてしまう行動特性です。目安としては、1問あたり1分30秒以内で処理できているかどうか。
この時間を超えると全体のリズムが崩れ、最後の記述に割く時間が必然的に削られます。特に盲点となりやすいのが「記号選択問題」です。記号問題は「文章を読む」作業と違い、直接答案欄に数字や記号を書き込めるため、子どもにとっては「答案を作っている」という実感を強く伴います。その結果、人間心理として「解答を進めているのだから大丈夫」という錯覚に陥り、実際以上に時間を費やしてしまうのです。
だからこそ、客観的なタイムマネジメントが不可欠です。実際に家庭でストップウォッチを用い、選択問題にかけている時間を計測させることで、本人の感覚と実際の乖離を明らかにすることが有効です。
さらに、抜き出し問題については補足が必要です。生徒の読解スタイルにもよりますが、理想的なのは「本文を読み進める流れの中で答えを見つけ、そのまま書き込めている状態」です。この場合、時間はほとんどかかりません。
一方、本文を読み終えた後に改めて答えを探し直す場合は、探索にかける時間をあらかじめ区切っておく必要があります。例えば「1分探して見つからなければ諦める」といった"撤退ライン"を明確に定めておくことで、時間の浪費を防ぐことができます。
三つ目は、知識問題で長時間立ち止まってしまうことです。
わからない問題に直面したとき、「もう少しで思い出せそう」「ここで解けなければ二度と思い出せないかもしれない」という感覚に囚われ、結果として1分以上を浪費してしまうケースが多く見られます。
しかし、入試本番の時間制約下では、わからない問題には10秒以内に見切りをつけて切り替えることが鉄則です。なぜなら、2点に満たない知識問題に固執することで、後半の10点以上を狙える記述問題に手をつけられなくなる、という非効率が生じるからです。
「粘ること」が必ずしも得点に結びつかないという現実を理解させることは容易ではありませんが、時間配分という観点から見れば、記述に投資する方が期待値が高いのです。
以上の三点、すなわち
を具体的な数値基準として家庭で測定することで、生徒が言う「時間が足りない」の正体が浮き彫りになります。
単に「もっと速く読もう」「早く解こう」といった精神論ではなく、時間を「読む」「選ぶ」「切り替える」という行動単位に分解し、それぞれを数値で評価する。これが、国語における時間不足を科学的に克服する第一歩となるのです。
時間不足を克服するためには、「実際の制限時間の中でどう配分し、どの設問にどれだけ投資するか」という感覚を養うことが欠かせません。これは、知識や読解力とは異なる「タイムマネジメントの技能」であり、日々の学習の中で意識的に鍛える必要があります。以下は家庭で簡単に実践できる手順です。
直近のテストではなく、数か月前に受けたテストを用いるのがポイントです。内容をある程度忘れているため、知識や暗記の再現度に左右されにくく、純粋に「時間配分」の練習に集中できます。持ち時間は実際の模試を意識し、例:50分と設定します。
冒頭でまず 1〜2分を「見直し用」に確保してから、残りの時間を全設問に配分します。
これにより「時間を使い切って終わり」ではなく、「見直し込みで設計する」という模試に近いシミュレーションが可能になります。
次に、各設問ごとに「この問題は〇分までに終える」と本人が答案用紙に記入します。
例えば、大問1の文章を読むのに6分、問一を解くのに1分、問二を解くのに1分30秒かかると想定した場合、大問1のとなりに6分、問一のとなりに7分、問二のとなりに8分30秒と記入させます。
文章を読みながら途中で問題を解く場合、始める前に軽く文章を確認してもよいので、問題を解くまでにかかる「途中まで文章を読む時間」を考慮して時間を記入しておきましょう。
問題を解きながら実際にかかった時間を横に書いていきます。ストップウォッチは50分で設定するのではなく、0分からスタートしてください。表示されている数字を書き込むだけなので便利です。1問ごとに書き込むことで、時間に対する意識が身につきます。
たまに、時間がズレていても焦らないで解いている生徒がいますが、それでは意味がありません。必ず、自分で決めた時間を極力守れるように、遅れていたら意識的にスピードを上げるようにしましょう。
演習終了後には、「どこで時間が伸びたのか」「なぜ予定を超過したのか」を一緒に振り返ることが不可欠です。
「読むのに時間がかかった」「選択問題に粘りすぎた」「知識問題で固まった」など、原因を言語化することで、次回に向けた修正点が明確になります。
時間配分の感覚は、単なる机上のアドバイスでは身につきません。
自分で予定を書き込み → 実行 → 予定との差を振り返る
というプロセスを繰り返すことで、初めて身体感覚として定着します。数回の練習を経るだけでも「時間の流れを自覚して解く」という意識に変化が現れ、実戦力の底上げにつながります。
記述が白紙になってしまう背景には、時間配分の問題とは別に、精神的なブレーキが存在します。これは「心的抵抗」や「自己抑制」に近い現象で、能力不足というよりは「心理的要因による筆の停止」です。典型的には以下の3パターンに分類されます。
「この言い回しは変ではないか」「こんな答えで減点されないか」という不安が強く、手が止まってしまう。これはメタ認知が高い子に多く、自己モニタリング機能が逆に働きすぎてしまうケースです。
本文の語句を使えばよいのに、「自分の表現で書かねばならない」という思い込みから筆が進まなくなる。文章生成における「オリジナリティ偏重」の傾向といえます。
「どんな気持ち?」と問われても適切な感情語が浮かばず、そのまま書かない。これは語彙の問題よりも、「心情語を起点に解答を組み立てる」という思考の順序に起因することが多いです。
いずれのケースも、感度が高い子ほどブレーキがかかりやすいのが特徴です。つまり、白紙は決して能力不足の証拠ではなく、「こだわりの強さ」「完璧主義的傾向」の副作用なのです。
記述が白紙になる大きな背景には、単なる能力不足ではなく「精神的なブレーキ」が存在します。
これらはすべて、読解感度やメタ認知の高さが裏目に出ている現象であり、子どもの力不足ではありません。
むしろ、完璧主義や感受性の高さという「強みの副作用」が原因になっているのです。
したがって、白紙答案の克服には「能力を伸ばす」よりも「心理的なこだわりをほぐす」ことが第一歩になります。
精神的なブレーキは「頭の中で考えすぎて行動が止まる」現象です。これを克服するためには、課題を細分化し、一歩ずつ確実に成功体験を積むことが有効です。行動・環境・心理的アプローチの3つの対策に分けて記載します。
これらのアプローチを駆使することで、心理的な抵抗感を減らし、子どもを「まず書いてみよう」という気持ちにさせます。
精神的ブレーキは、家庭内の練習だけでは外れにくいことがあります。その場合は外部環境の力を借りることが効果的です。
精神的ブレーキは「思考のクセ」と密接に関わっています。
精神的ブレーキの改善のために、
この3方向のアプローチをいろいろとお試しください。
精神的なブレーキは、正しく分解し、段階的に介入すれば短期間で改善が可能です。授業の中であれば数回のフィードバックで解決するケースも多く、停滞が続くときはカウンセリングで現状を診断し、個別に処方箋を提示することができます。SS-1の学習カウンセリングにお気軽にご相談ください。

この相談に答えた講師
田畠 靖大(Tabata Yasuhiro)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)国語科講師。関東にあるSS-1白金台教室、渋谷教室、お茶の水教室や、オンライン教室でも全国の生徒さんを指導しており、毎年難関中学に送り出しています。担当教科は国語・算数。論理性を重視しながらも、ソフトな語り口でお子様の課題解決に取り組みます。テストでの得点向上のみならず、科目の根本理解、体系理解を実現、得意科目に仕上げていきます。
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