【中学受験国語】線引き×イラストでリアルタイム読解!・小川未明「月夜とめがね」
線引き×イラストでリアルタイム読解!
今回は、国語の内容理解および線引きの実践動画を作成してみました。こちらの動画は、次のような生徒さんにオススメの動画です。
- いま国語が苦手なお子さん
- 内容を本当に理解しながら読んでいるのかあやしいお子さん
なるべく文章に入り込みやすいように、動画では授業っぽさを極力排除してみました。 私にとっても一つのチャレンジでしたが、好評でしたら続きも作成してみたいと思います。
この動画で国語の内容をイメージする感覚を取り戻すと同時に、線引きの感覚を身につけてくれると嬉しいです。使っている文章は下記のURLからダウンロードしてください。
リアルタイム問題 PDFダウンロード
下記のリンクから問題をダウンロードできます。動画を見ながら解いてみましょう。
リアルタイム問題 解答はこちら
問題を解き終えたら以下の「解答を確認する」をタップして確認しましょう。
小川未明「月夜と眼鏡」 解答と解説
解説
はじめに、おばあさんの人物像を整理してみましょう。
(1)人物像を整理しよう
- 性別・年齢
高齢の女性 - 職業
針仕事をしている(糸を針のめどに通す作業が困難になっている) - 外見・状態
年齢ゆえに目が悪く、細かい作業がつらい - 考え(思い)
若返りたいという願望を抱えている
(2)人物像をまとめよう
おばあさんは高齢になって目が悪くなり、針仕事がままならない状態です。そのため、若いころのようによく見えるようになりたい、つまり「若返りたい」という気持ちを強く抱いています。
この人物像を踏まえて、各選択肢の内容を見ていきましょう!
(3)選択肢の内容を確認しよう
ア
「孤独感を抱えていたおばあさんは、めがね売りの男と過ごしたわずかな時間をかけがえのないものと感じていたが、彼が立ち去ってしまったことが悲しく、残されためがねを見るたびに男とのやりとりを思い出して感傷にひたっている。」
- アの選択肢は、「おばあさんが孤独感を抱いている」という点に注目しています。
- たしかにおばあさんは孤独感を抱いていましたが「めがね売りの男との出会いが孤独感を大きく変化させる決定的なきっかけになった」とまでは読み取れません。
- 男の存在を懐かしんで感傷に浸る具体的な描写も本文には見当たらず、根拠に乏しいため、この選択肢は誤りになります。
イ
「なんでもよく見えるめがねをかけた途端、まるで若返ったように感じたおばあさんは、かけているときと外しているときの大きな違いに驚き、どうしてよいか戸惑いながらも、その急激な変化を素直に受け入れきれず、落ち着かないままでいる。」
- イの選択肢は、おばあさんの心情変化に焦点を当てて考えましょう。
- 本文全体から、めがねをかけることをきっかけにおばあさんが悩んでいた老いが解消される変化を読み取ります。
- 喜びに胸を弾ませ、すぐに針仕事を試してみるなど、前向きでうれしそうな姿が描かれているため、後半の「戸惑い」「受け入れきれない」というマイナス要素が本文の内容と合いません。したがって、この選択肢は誤りです。
ウ(正解)
「老いによる目の衰えに悩んでいたおばあさんは、新しいめがねのおかげで針に糸を通すことも難なくできるようになり、その上、目に映る景色も思った以上に新鮮に感じられるため、懐かしさと意外な楽しさとが入りまじり、胸を弾ませている。」
- ウの選択肢は「老いによる目の衰え」という人物像と、「針に糸が通るようになった」という出来事、そして「景色が新鮮に見えて、懐かしさを感じている」という喜びが丁寧に描写されています。
- 本文には、若い頃のように物がはっきり見えるようになった喜びと、思いがけない感動が描かれており、この内容と一致します。よって、最も適切な選択肢です。
エ
「孤独であることに悩んでいたおばあさんは、めがねをかけると毎日が楽しかった若いころに戻ったような気持ちになり、その懐かしい感覚を何度も味わおうとめがねをかけ直しながら、昔に味わった光景を必死に思い返し、取り戻そうとしている。」
- エの選択肢は「孤独」や「若いころが毎日楽しかった」という設定を強調していますが、「孤独」は今回の傍線部には関係がなく、また「若いころの毎日が楽しかった」かどうかは、本文で言及されていないのでわかりません。
- めがねをかけたり外したり楽しんでいる描写は「よく見えるようになった驚き」や「新鮮な喜び」がメインであり、「必死に昔を取り戻そうとしている」というほどの行動には読み取れず、飛躍表現であると考えます。
- したがって、これらの要素が本文からは直接読み取れず、誤りといえます。
物語文の線引きのポイント
解答の根拠となる箇所に線を引きましょう
物語文では、登場人物の心情を問う問題が多く出題されます。そのため、心情を考える際に必要な要素に線を引きます。
この、心情を考える際に必要な要素が「人物像」です。
たとえば、
100点満点のテストで10点をとった少年が、涙を流して泣いている。
という場面があったとします。
ここで「少年はなぜ泣いているのか?」と問われたとき、単に「点数が悪くて泣いている」かどうかは断定できません。実は正解は「わからない」です。
なぜなら、少年の"人物像"、つまり普段は何点をとっているのか、テストに対してどんな思いがあるのかなどがわからないからです。
もし彼に
家庭の事情で十分に勉強ができず、テストで毎回0点をとっていた
「1点でもいいからテストで点を取ってみたい」と必死に頑張った
という背景があったとしたら、先ほどまで私たちが感じていた「ただ点数が悪くて泣いている」イメージは一変し、少年の気持ちもまったく違うものとして読み取れるでしょう。
このように、物語文では"人物がどのような背景を持っているか(人物像)"をはっきりさせることが、心情問題に答える大きなヒントになります。そのためにも、回答の根拠とするための情報--つまり、人物像がうかがえる文章--に線を引いて整理しておくことが重要です。
ご家庭での学習フォローに不安があるときは、プロ講師のサポートを活用してください
国語の成績が上がらないとお悩みでしたら、最寄のSS-1の教室にご相談ください。無料の学習カウンセリングを行わせていただき、お子様に応じたベストアドバイスを差し上げます。
↓
学習カウンセリングお申込みはコチラ
SS-1では、受験情報、学習情報、勉強のしかたのヒントなど動画の配信を行っていきます。
YouTubeチャンネル登録はこちらから。

この相談に答えた講師
田畠 靖大(Tabata Yasuhiro)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)国語科講師。関東にあるSS-1白金台教室、渋谷教室、お茶の水教室や、オンライン教室でも全国の生徒さんを指導しており、毎年難関中学に送り出しています。担当教科は国語・算数。論理性を重視しながらも、ソフトな語り口でお子様の課題解決に取り組みます。テストでの得点向上のみならず、科目の根本理解、体系理解を実現、得意科目に仕上げていきます。
中学受験に役立つ受験情報をLINE公式アカウント・メルマガで配信中!

塾のクラスを上げるには?
成績を上げる方法とは?
SS-1のLINE公式アカウントまたは無料メールマガジン『Challenge Eyes』にご登録いただくと、中学受験専門の個別指導ノウハウが詰まった塾の成績アップに役立つ情報や限定セミナーのご案内をお届けします。
迷惑メールフィルタ設定をご利用の場合は、m-academia.co.jpドメインおよびss-1.netドメインからのメールを受信できるよう設定をお願いいたします。