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説明文は事実を伝える文章、論説文は筆者の主張を述べる文章、物語文はフィクションの世界を通じて感情を表現する文章です。では、"随筆文(エッセイ)"とはどのような文章なのでしょうか。
随筆文は一言で言えば、「筆者自身の体験をもとに、そのときに感じたことや考えたことを自由に綴った文章」です。大人の書く「日記」のようなもの、と言われることもあります。
たとえば、
「今日はドッジボールをしました。楽しかったです。」
このような日記を、小学生の皆さんも書いたことがあるかもしれませんね。
この短い文も、実は二つの部分に分けることができます。
これを大人が難しい言葉を使って書いたのが随筆文だと思ってください。
このように、随筆文は「体験(何があったか)」と「感想(どう感じたか)」のセットでできているのです。この「体験」と「感想」を読み分けることが、随筆文の読解において最も重要なポイントとなります。
随筆文には、大きく分けて「物語文寄り」と「論説文寄り」のタイプがあります。
筆者の体験やそのときの気持ちが中心となっており、まるで筆者自身が主人公の物語のように読めます。
たとえば、
「幼い頃はよく父に野球観戦に連れて行ってもらったものだ。今でも楽しかった思い出として記憶に残っている」
このような随筆では、筆者の体験と心情が描かれています。筆者のことを「主人公」、感想を「心情」と考えると、まさに物語文の読解と同じですね。
論説文寄りの随筆文
体験をもとにしながらも、筆者の意見や問題提起が強く表れているタイプです。
たとえば、
「電車の中で大きな声で電話をしている若者が三人もいた。他人に迷惑をかけても平気な人が増えたのだろう。」
この文では、
感想ではありますが、「世の中はこうあるべきだ」という主張に近く、論説文的な要素が強いと言えます。
文章のタイプによって、出題される問題の傾向も変化します。
注意したいのは、随筆文が完全に物語文か、論説文かに分かれるわけではないということです。
物語文寄りの随筆文でも、論説的な設問が出されることがありますし、その逆もあります。
つまり、随筆文は物語文と論説文の中間にある文章です。だからこそ、物語文と論説文の両方の読み方を身につけておくことが、随筆文の正確な読解につながるのです。
随筆文は、筆者が「昔の体験談」を語るという形式で書かれることが多く、内容の起承転結がはっきりしているのが特徴です。
典型的なパターンは以下のようになります:
こうした構成は、随筆文に多く見られるパターンです。もちろん、必ずしもこのような形になるわけではありません。問題に合わせて対応しましょう。
「筆者はいつどんな体験をして、何を感じ、何に気づいたのか?」という流れで読むことで、内容の整理や設問への対応がしやすくなります。
集団塾で随筆文が単元として出てきた場合、どれくらい復習したらよいのか悩まれることがあると思います。その場合は、志望校の過去問に随筆文が出題されているかどうかで判断しましょう。
出題されている場合は、傾向に慣れるためにも積極的に取り組むことをおすすめしますが、志望校に随筆文の出題がない、あるいは志望校が定まったいない場合は、まずは物語文と論説文の読解を優先するのが賢明です。
なお、志望校で随筆文が出題されているかどうかは、過去問集の冒頭ページに記載されていることが多いです。
たとえば『声の教育社』さんの過去問では、各年度の大問構成(説明文・物語文・随筆文など)が一覧で掲載されていますので、まずはそちらを確認してみてください。
というのも、随筆文は物語文と論説文の要素が合わさった文章です。この二つの読解力があってこそ、随筆文を深く理解することができるのです。
講習期間などで随筆文が出てきて正答率が悪くても焦らないでください。優先順位を意識して、まずは基礎となる読解力をしっかり固めましょう。
随筆文は、「体験」と「感想」を組み合わせて筆者の気づきや考えを伝える文章です。
物語文のように心情を読み取り、論説文のように意見の理由を考える必要があるため、物語文と論説文の力をどちらもバランスよく使うことが重要です。
中学受験の国語では、随筆文を苦手とする受験生も少なくありません。ですが、
この3つを意識すれば、随筆文の読解はぐっと楽になります。
物語文でも論説文でもない、"大人の日記"を読むようなつもりで、筆者の気持ちと考えを丁寧に追いかけていきましょう

この相談に答えた講師
田畠 靖大(Tabata Yasuhiro)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)国語科講師。関東にあるSS-1白金台教室、渋谷教室、お茶の水教室や、オンライン教室でも全国の生徒さんを指導しており、毎年難関中学に送り出しています。担当教科は国語・算数。論理性を重視しながらも、ソフトな語り口でお子様の課題解決に取り組みます。テストでの得点向上のみならず、科目の根本理解、体系理解を実現、得意科目に仕上げていきます。
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