中学受験において、小学5年生の後半は非常に重要な時期です。 6年生になると、志望校別対策や過去問演習、実戦的な問題演習が本格化していきます。...
国語のテストで、「〜のはなぜですか」「その理由を答えなさい」と問われる問題を見たことがあると思います。この、理由を問う問題――ここでは「理由問題」と呼びます――は、じつは国語の入試で「言いかえ問題」と並ぶ二大出題形式のひとつです。物語文でも説明文でも必ず出てきますし、上位校ほど出題の割合が増えていきます。
ところがこの「理由問題」、多くのお子さんがなんとなくの感覚で解いてしまいがちな分野でもあります。理由を答えるには、本文のどこにどう理由が書かれているかを見つける必要があるのですが、その「探し方」を習う機会が、意外と少ないのです。
そこで今回は、「なぜですか?/理由は?」と問われる理由問題の答えがすぐに見つかるようになる3つの裏ワザをご紹介します。SS-1の国語指導で実際に使っている方法を、例文つきでお伝えします。読み終わるころには、「理由って、こうやって探せばよかったのか」と実感していただけるはずです。
「理由問題」が苦手な子には、じつは共通したつまずき方があります。指導の現場で見ていると、大きく3つのパターンに分かれます。お子さんに当てはまるものがないか、思い浮かべながら読んでみてください。
そうだったの!? ①「そもそも理由を探す気で読んでいない」
いちばん多いのがこれです。文章をただ受け身で、すらすら流し読みしているだけ。「ここには理由があるはず」という意識のアンテナが立っていないので、あとで「なぜ?」と問われても、どこを見ればいいのか分からないのです。
そうだったの!? ②「理由の"目印の言葉"を知らない」
文章には「ここに理由があるよ」と教えてくれる目印の言葉があります。「なぜなら」「だから」といった接続語や、文末の「〜から」「〜ため」がそれです。ところが、その目印に注目する習慣がついていないので、大事なサインを素通りしてしまうのです。
そうだったの!? ③「浅いところで答えを止めてしまう」
とくに物語文では、理由が「行動→気持ち→できごと→人物像」と、奥へ奥へとつながっていることがあります。手前の浅い理由で答えを書いてしまい、間違えてしまうのです。
この3つは、どれも頭の良さや読解力の問題ではありません。①理由を探す意識、②目印の言葉、③どこまで掘るか――この3つを知らないまま、なんとなく読んでいるだけなのです。裏を返せば、この3つを押さえれば「理由問題」は得点源になります。それが、これからご紹介する3つの裏ワザです。
この記事では、次の短い文章を例文として使います。まずはお子さんになったつもりで読んでみてください。
例文(説明文)
都会の夏は、昔よりずっと暑くなっている。なぜなら、道路や建物がふえ、土や緑がへってしまったからだ。土や植物は水をふくんで熱をにがすが、アスファルトやコンクリートは太陽の熱をため込みやすい。そのため、夜になっても気温が下がりにくく、都会にはねむれないほど暑い夜が生まれるのである。
最初の裏ワザは、文章を読むときに心の中でいちいち「ツッコミ」を入れることです。書いてあることを素直に受け取らず、疑り深く読む。とくに傍線部を見たら、すかさず心の中で「なんで?」「だから何?」とツッコむ。この口ぐせだけで、理由を探すアンテナが自動で立ちます。
さきほどの例文で試してみましょう。「都会の夏は、昔よりずっと暑くなっている」と読んだら、すかさず心の中で「なんで?」。逆に「道路や建物がふえ、土や緑がへった」と読んだら「だから何?(で、どうなったの?)」。こうやって読みながら自分にツッコミを入れると、原因と結果が"セット"で見えるようになります。
読みながらツッコミを入れる
都会の夏は、昔よりずっと暑くなっている。
→ 「なんで?」とツッコむ
→ すぐあとに「道路や建物がふえ、土や緑がへったからだ」と書いてある。「なるほど、これが理由か」
「なんで?」「だから?」と考えながら読むのは、ちょっと嫌味な聞き手のようですが、理由問題ではこれが正解の読み方です。「ふーん、で、なんで?」「それで、だから何なの?」と、心の中でしつこく食い下がる。この一言があるだけで、探す意識のスイッチが入り、理由が向こうから飛び込んでくるようになります。
ご家庭での声かけに
ふだんの会話でも、お子さんの話に「なんで?」「どうして?」「その結果どうなったの?」と聞いてあげてください。原因と結果をセットで考えるクセは、日常の中でこそ育ちます。この問いかけが、そのまま理由問題を解く力につながります。
「なんで?」とツッコむ意識ができたら、次は理由のありかを教えてくれる「目印の言葉」に注目することです。文章には、「ここに理由がありますよ」というサインがちりばめられています。それを知っているだけで、答えが一瞬で浮かび上がります。
目印は、大きく2つのグループに分かれます。同じ「つなぎ言葉」でも、どちら側に答えがあるかが逆になるので、セットで覚えておきましょう。
理由の「目印の言葉」は二方向
【だから型】だから/それで/そのため/したがって/ゆえに/そこで
→ 前が原因、後ろに「結果」が来る。(原因 → 結果)
【なぜなら型】なぜなら/というのも/だって/〜から/〜ので/〜ため
→ 前が結果、後ろに「理由」が来る。(結果 → 理由)
これらの言葉を見つけたら、その近くに理由や結果が書かれていると考えましょう。
さきほどの例文で確かめましょう。「都会の夏が暑くなったのはなぜですか」と問われたら――
目印の言葉で理由を見つける
都会の夏は、昔よりずっと暑くなっている。なぜなら、道路や建物がふえ、土や緑がへってしまったからだ。
→ 「なぜなら」「からだ」という目印がある。だから、その間にはさまれた「道路や建物がふえ、土や緑がへった」が理由だと、すぐに分かる。
目印になるのは接続語だけではありません。文末の「〜のだ」「〜のである」も、その文が理由や事情を説明しているサインです。例文の最後も「暑い夜が生まれるのである」と結ばれていて、ここまでが理由の説明だと分かります。
大切なのは、接続語や文末の言い方に注目しながら読む習慣をつけることです。「だから」「なぜなら」「〜から」「〜のだ」――こうした言葉に自然と目がとまるようになれば、理由のありかは向こうから教えてくれるようになります。
目印がないときは
ときには、接続語も「のだ」もないのに、文と文が理由でつながっていることもあります。そんなときこそ、裏ワザ①の「なんで?」「だから何?」の出番。となり合う文の間で自分でツッコミを入れ、意味が通れば因果関係です。文と文のあいだに矢印(→)を書き込むクセをつけると、目印のない因果も見えてきます。
3つめは、ひとつ理由を見つけても、そこで満足せず、もう一度「なぜ?」と問い直すことです。じつは理由には、すぐ手前にある浅い理由(直接原因)と、その奥にひそむ本当の理由(間接原因)があります。名前は難しく見えますが、やっていることは「見つけた理由に、もう1回ツッコむ」だけ。裏ワザ①と同じことを、もう一段くり返すのです。
とくに物語文では、この掘り下げに決まった順番があります。
物語文の「理由の掘り方」
行動(したこと・表情・口調)の理由は...... → 気持ち(心情)
気持ち(心情)の理由は...... → できごと
できごとへの反応の奥には...... → 人物像(性格・立場)
登場人物の「行動」の理由を問われたら、その奥にある「気持ち」を探す。さらにその「気持ち」がなぜ生まれたかといえば、たいてい何か「できごと」があったからです。そして、同じできごとでも感じ方が人によって違うのは、その子の「人物像」(性格や立場)があるから。見つけた理由に、もう一度「なんで?」とツッコむ――それだけで、次の層へ掘り進められます。
物語文の例で確かめましょう。「ゆうたは、その日一日、だれとも口をきかなかった」という一文があり、「ゆうたが、だれとも口をきかなかった(行動)のはなぜ?」と問われたとします。
「行動→気持ち→できごと→人物像」で掘る
だれとも口をきかなかった ......行動
↑ なんで?
悲しくて、人と話す気になれなかった ......気持ち(心情)
↑ なんで?
今朝、母が入院した ......できごと
↑ なんで、そこまで?
母を大切に思い、不安を人に言えない性格 ......人物像
本文に直接書かれているのは「行動」と「できごと」ですが、その間をつなぐ「気持ち」を補って書くことで、理由がぐっと深く、正確になります。「母が入院したから」だけでも半分は正解ですが、上位校の記述ではこの気持ちの部分まで書けているかで差がつきます。さらに、その子の人物像まで見えていると、なぜそこまで落ち込むのかという気持ちの深さまで説明できるようになります。
説明文では、原因が数珠つなぎに続くことがあります。「風が吹けば桶屋がもうかる」のように、Aが起きてB、Bが起きてC......と連鎖するタイプです。こうした文章では、途中の一つひとつにとらわれず、筆者が最後に一番言いたい「結論」はどれかを見極めることが大切です。「本文に書いてあったから」というだけで途中の内容を選ぶと、罠にかかります。
ここまでの3つを、実際の読み方・解き方の手順にまとめます。
だから「理由問題」は武器になる
「理由問題」は、読むときの意識と目印の言葉さえ分かれば、いちばん手順化しやすい問題です。しかも上位校ほど出題が増えるので、ここが得意になると得点が安定します。「なんで?」と自分にツッコみながら読む――そのクセがつけば、理由は自然と目に飛び込んでくるようになります。
SS-1の学習カウンセリングでは、実際のテストの答案やふだんの問題用紙への書き込みを講師が拝見し、お子さんが「理由問題」のどこでつまずいているかを見きわめたうえで、その子に合った練習法をご提案しています。
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テストの成績・答案をお持ちいただければ、国語の専門講師が「なぜその答えがバツだったのか」「どう探せばマルになるのか」をその場で分析し、お子さんに合った勉強法をご提案します。
お子さんが「国語」のどこでつまずいているかを見つけて、解決策をご提示します。気になった方は、ぜひ一度、答案をお持ちのうえでお越しください。

この記事を執筆した講師
田畠 靖大(Tabata Yasuhiro)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)関東副代表・渋谷教室長。関東にあるSS-1渋谷教室を中心に多くの受験生を指導し、毎年難関中学に送り出しています。担当教科は国語・算数。論理性を重視しながらも、ソフトな語り口でお子様の課題解決に取り組みます。テストでの得点向上のみならず、科目の根本理解、体系理解を実現、得意科目に仕上げていきます。
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