1.「解いたら終わり」では、国語は伸びない 国語の点数が伸びない生徒の多くは、「解く」ことに時間を使いすぎています。もちろん演習量は必要です...
中学受験の国語で、こんなお悩みはありませんか。
よくいただくご相談
「記号選択でミスが多い......」
「最後の2つまでは絞れるのに......」
「正答率の高い問題を落としている...」
選択肢問題を取りこぼしてしまうのは、読解力がないからではなく、「間違い選択肢の仕掛け」を知らないからかもしれません。
問題を作る人は、それを解く子どもたちに「うっかり選ばせたい」と思っているので、思わず見落としてしまうような、さまざまな「罠」を用意してきます。ゆえに、何も知らずに問題を解こうとすると、うまくその「罠」にはまって、間違い選択肢を選んでしまうのです。逆に、その「罠」を事前に見破ることができれば、正解選択肢を簡単に見抜けるようになるのです。
ほとんどのお子さんは「最も正しい選択肢はどれか」という視点で選択肢を選んでいます。ところが、ここに落とし穴があるのです。
問題を作る人は、「いかにも正解らしい選択肢」になるように、本文中の言葉をうまく使って作ります。ゆえに、お子さんが純粋であればあるほど、簡単に間違い選択肢に誘導されてしまうのです。
つまり、お子さんが「正解はどれか」と考えている思考は、一見すると正しいように見えて、じつは選択肢問題で点を落とす一番の原因になってしまっているのです。
だからこそ、必要なのは「正しそうなもの」に飛びつかないことです。いかにも正解らしく見える選択肢ほど、いったんうたがう。そのための具体的な目印が、これからご紹介する3つの裏ワザです。
まず注目したいのは、言いすぎている言葉です。たとえば――
こんな言葉が出てきたら、いったん立ち止まる
「常に」「絶対に」「必ず」「~だけ」「~のみ」
文章を読むと、書き手はふつう「〜だろう」「~と思う」「~と考えられる」のように、少し幅をもたせた言い方をしています。ところが間違い選択肢では、それを「絶対に〜だ」「すべて〜だ」と言いきった形にすり替えていることがよくあります。少しでも幅のある内容を、強い言葉で塗りつぶしてしまうわけです。
ですから、こうした強い言葉を見つけたら、「本文もそこまで強い言葉で言いきっていたかな?」と確かめる。これだけで、あやしい選択肢にすばやく気づけます。
ポイント
ただし、ここが大事です。「強い言葉が入っているから、すぐ×」と機械的に消すのはやめましょう。本文がきちんと言いきっている場合には、強い言葉のある選択肢が正解になることもあります。あくまで「立ち止まって本文と見くらべる合図」として使ってください。
▼ ためしに、この2つを見てください
「雨の音を聞いて、悲しい気持ちになった」という場面での、理由の選択肢です。
イは、雨の音の話から、祖母のこと「だけ」と限定して言いきっています。こういう言葉が出てきたら、まず一度うたがう。これが裏ワザ①です。
次は、物事の"程度"を表す言葉です。
たとえば、こんな言葉
「とても」「かなり」「少し」「非常に」 など
これらは、なくても文の意味が通る言葉です。にもかかわらず選択肢に入っているときは、注意が必要です。じつは選択肢には、文字数をできるだけそろえて作るという、作り手の習慣があります。長さがバラバラだと、長い選択肢が目立って正解だと見抜かれやすいので、どれも同じくらいの長さにそろえたいのです。
そのため、内容を変えずに長さを調整したいとき、「かなり」「とても」といった"かさ増し"の言葉がそっと足されることがあります。こうした言葉が出てきたら、「これは長さをそろえるために入れただけかな、それとも本文に根拠があるのかな」と一度うたがってみる。それだけで、文章をていねいに見る目が育ちます。
ポイント
こちらも①と同じで、「程度の言葉があるから×」と決めつけないこと。本文に「かなり〜だった」と書いてあれば、その言葉は正しい場合もあります。「ちょっと立ち止まる合図」として使うのがコツです。
▼ ためしに、この2つを見てください
「となりの席の子が、自分の絵を見ていたことに気づいて、手で隠した」という場面の選択肢です。
イの「かなり」「熱心に」は、なくても文として成り立ちます。長さをそろえるために足された言葉かもしれないと気づけるかどうか。これが裏ワザ②です。
3つ目は、少し意外に感じられるかもしれません。注目するのは、いかにも立派で、前向きで、心に響く言葉です。たとえば――
こんな"キラキラ言葉"に注意
「あきらめない」「前を向いて」「精一杯が」「友情」「絆」「成長」「夢」「強く生きる」 など
こうした言葉は、読むだけで「いい話だなあ」「なんだか正しそう」と感じます。だからこそ、問題を作る人はこれを利用します。中身は本文と合っていないのに、立派で前向きな言葉で飾った選択肢を用意して、「いかにも正解らしい」雰囲気でお子さんを引きよせるのです。
物語の中の人物は、いつも「一つだけの気持ち」をもっているわけではありません。賞賛と嫉妬、決意と躊躇、期待と不安など、複数の心情を複雑に抱えているのです。それなのに、選択肢が「決してあきらめず、強く生きようと誓った」のようにいかにも道徳の教科書のような言葉でまとめていたら、いったんうたがってください。本文の人物が、本当にまっすぐに一つの気持ちだけを思っていたかどうか。
ポイント
①②と同じで、「キラキラした言葉だから×」と決めつけないこと。本文が本当に前向きな場面なら、その選択肢が正解のこともあります。「立派すぎる言葉ほど、本文と見くらべる」という合図にしてください。
▼ ためしに、この2つを見てください
「かけっこで転んでしまった子が、その日の夜に少しだけ心が軽くなった」という場面の選択肢です。
アのほうが、言葉だけ見ればずっと立派で「正解っぽい」です。でも、立派な言葉に飾られているからこそ、うたがう。いちばん前向きで美しい選択肢が、いちばんあやしい――これが裏ワザ③です。
ここまで、3つの裏ワザを一つずつ見てきました。最後に、選択問題を解くときの手順として整理し、3つをまとめて使う例題で仕上げましょう。
では、自作の例題でやってみます。お子さんと一緒に読んでみてください。
本文(一部)
その日も、弟は熱を出して寝こんでいた。母は仕事で、家には兄と弟の二人きりだった。兄はだまって台所に立ち、いつもよりずいぶん時間をかけて、ことこととおかゆを煮ていた。弟の好きな、やわらかいおかゆだ。料理がうまいわけではない。げんに、なべの底は少しこげていた。それでも兄は、味見をしては首をかしげ、また火にかけ、何度も何度もかきまぜていた。
運ばれてきたおかゆを一口すすって、弟はふいに、目のおくが熱くなった。「うまいだろ」と、兄はぶっきらぼうに言った。弟は、こくりとうなずくのが、せいいっぱいだった。
問
傍線部「目のおくが熱くなった」とありますが、それはなぜですか。最もふさわしいものを次のア〜エから一つ選びなさい。
4つの選択肢は、わざとすべて同じ文字数(35字)でそろえてあります。これは作り手の習慣そのものです。アは①の言いすぎ、エは②のかさ増し、イは③の立派なキラキラ言葉のおとり、そしてウだけが、本文を地味に言いかえた正解でした。3つの裏ワザが、ここで力を発揮します。
3つの裏ワザをご紹介してきましたが、最後に保護者の方からよくいただくご質問にお答えします。
よくいただくご質問
Q. 選択肢は「先に全部読んでから」考えるべき? それとも「本文を読みながら」その都度選ぶべき?
A. これは、お子さんによって最適なやり方が違います。読むスピード、記憶の持ち方、集中の続き方――こうした特性によって、合う進め方は一人ひとり変わります。ある子に効くやり方が、別の子には逆効果になることも珍しくありません。
同じように、今回の3つの裏ワザも、お子さんに効くかどうかは、読解のクセによって変わります。「言葉に強い子」もいれば、「全体の流れでつかむ子」もいる。だからこそ、その子の答案を実際に見て、最適な解き方とタイミングを一緒に設計していくことが、遠回りのようでいちばんの近道です。
▼ お子さんの答案、一度見せてください
SS-1では、お子さんの答案やテストを拝見しながら、
その子に合った選択問題の解き方とタイミングをご提案します。
「最後の2つで迷う」「正答率の高い問題を落としてしまう」――
その原因は、答案を見れば見えてきます。
ぜひ、最近のテストや答案をお持ちください。

この相談に答えた講師
田畠 靖大(Tabata Yasuhiro)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)関東副代表・渋谷教室長。関東にあるSS-1渋谷教室を中心に多くの受験生を指導し、毎年難関中学に送り出しています。担当教科は国語・算数。論理性を重視しながらも、ソフトな語り口でお子様の課題解決に取り組みます。テストでの得点向上のみならず、科目の根本理解、体系理解を実現、得意科目に仕上げていきます。
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