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【中学受験算数】仕事算の裏ワザ その3

最終更新 / 公開日
【中学受験算数】仕事算の裏ワザ その3

【中学受験算数】仕事算の裏ワザ その1
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【中学受験算数】仕事算の裏ワザ その3

中学受験算数の必須単元である「仕事算」を根本から理解し、得点源にするための全3回シリーズ。いよいよ今回が最終回です。

第1回では全体の仕事量を「最小公倍数」で仮置きする裏ワザを、第2回では複雑な条件を「式の形の表」で整理する裏ワザをお伝えしました。

最終回となる今回は、難関校の入試で合否を分ける「比の値を利用した問題」や、他単元と組み合わさった「複合問題」を、驚くほどシンプルに解き明かす裏ワザをご紹介します。

応用問題の仕事算は、なぜ手が止まってしまうのか?

応用問題になると、「Aさんは10日で〜」といった具体的な数字が消え、「AさんはBさんの1.5倍の速さで〜」などと条件が複雑に絡み合ってきます。全体の仕事量も、かかる日数も見えなくなり、何から手をつけていいか分からなくなってしまうお子さんが非常に多いです。

しかし、恐れる必要はありません。以下の裏ワザを覚えてしまいましょう。

  • 問題文の条件から「1日あたりの仕事量の比」を見つける
  • 見つけた「比」を、そのまま「1日あたりの仕事量(ページ数)」にしてしまう

【具体例】
例えば、「AさんはBさんの1.5倍の速さで仕事をする」とあれば、1日あたりの仕事量の比は A:B = 1.5:1 = 3:2 になります。

この「3」と「2」をそのまま使い、「Aさんは1日に3ページ進める」「Bさんは1日に2ページ進める」と決めてしまうのです。全体像が見えなくても、この「1日あたりのページ数」さえ設定できれば、複雑な問題も一気に解きやすくなります。

実際の入試レベルの3つの問題で、段階的に体感してみましょう。

【問題1】「逆比」を使って解く最頻出パターン

まずは、「かかる日数」から比を出す基本の応用問題です。

【問題1】
ある仕事を仕上げるのに、Aさん1人だとBさん1人でやる時の 5分の3 の日数で仕上げることができます。この仕事を最初はAさんが1人で4日間行い、残りをBさんが1人で10日間行って仕上げました。この仕事をAさん1人で行うと何日かかりますか。

【解説と解き方】

ステップ1:日数の比から「1日あたりの仕事量の比」を出す

「AさんはBさんの 5分の3 の日数」ということは、かかる日数の比は A:B = 3:5 です。

日数が短い方が仕事が速いので、1日あたりの仕事量は逆比の 5:3 になります。

ここで裏ワザを発動し、比をそのまま1日のページ数にしてしまいます。

  • Aさんの仕事量:5ページ/日
  • Bさんの仕事量:3ページ/日

ステップ2:表を書いて全体の仕事量を出す

「Aさんが4日、Bさんが10日」という情報を表に書き込みます。

状況 1日あたりの仕事量 日数 合計(こなした量)
Aさん 5ページ/日 4日 20ページ
Bさん 3ページ/日 10日 30ページ
} 50ページ

表を横に計算し、足し合わせることで、全体の仕事量が「50ページ」だとわかりました。

ステップ3:Aさん1人の場合を計算する

50ページ ÷ 5ページ/日 = 10日

【答え】10日

【問題2】「消去算」を使って隠れた比をあぶり出す問題

次は難関校で頻出のパターンです。「全体の仕事量」も「1日あたりの仕事量」もわからない状態からスタートしますが、別の単元である「消去算」の考え方を使って突破口を開きます。

【問題2】
ある仕事を仕上げるのに、Aさんが12日、Bさんが20日働くとちょうど終わります。また、同じ仕事をAさんが18日、Bさんが10日働いてもちょうど終わります。この仕事をAさんとBさんの2人で一緒にすると、何日で終わりますか。

【解説と解き方】

ステップ1:条件を並べて「1日あたりの仕事量の比」を見つける

2つのパターンを、「消去算」のように上下に並べて式に書き出してみましょう。

  • パターン1: A × 12日 + B × 20日 = ①(全体の仕事量)
  • パターン2: A × 18日 + B × 10日 = ①(全体の仕事量)

パターン1からパターン2へ変えると、以下のようになります。

  • Bさんの働く日数が 10日減った(20日 → 10日)
  • その代わりに、Aさんの働く日数が 6日増えた(12日 → 18日)

ここから、「Bさんが10日かけてやる仕事を、Aさんなら6日で終わらせることができる」という関係性が浮かび上がります。

  • かかる日数の比 = A:B = 6日:10日 = 3:5
  • 1日あたりの仕事量の比 = A:B = 5:3 (※日数の逆比)

ステップ2:表を書いて全体の仕事量を出す

見つけ出した1日あたりの仕事量の比をそのまま「1日のページ数」にして、パターン1(またはパターン2)の情報を表に書き込みます。今回はパターン1で表を作ってみましょう。

  • Aさんの仕事量:5ページ/日
  • Bさんの仕事量:3ページ/日
  • 2人一緒の仕事量:5 + 3 = 8ページ/日
状況 1日あたりの仕事量 日数 合計(こなした量)
Aさん 5ページ/日 12日 60ページ
Bさん 3ページ/日 20日 60ページ
} 120ページ

表で計算すると、全体の仕事量が「120ページ」だと視覚的にわかります。

ステップ3:2人で一緒にやった場合を計算する

120ページ ÷ 8ページ/日(A + B) = 15日

【答え】15日

【問題3】途中で速さが変わる+つるかめ算の複合問題

最後は、第1回〜第3回までのすべての裏ワザを統合して解く、難関校の「合否を分ける」レベルの問題です。

【問題3】
ある仕事を仕上げるのに、Aさん1人では30日、Bさん1人では45日かかります。最初は2人で一緒に作業を始めましたが、途中からAさんはいつもの「3分の2の速さ」になり、Bさんはいつもの「2分の1の速さ」になってしまったため、仕事を終えるまでに全部で20日かかりました。Aさんがいつもの速さで作業をしたのは何日間ですか。(※AさんとBさんは同時にペースダウンしたとします)

【解説と解き方】

ステップ1:最小公倍数で「全体の仕事量」と「いつもの速さ」を出す

30と45の最小公倍数を使って、全体の仕事量を「90ページ」と仮置きします。

  • Aさんのいつもの速さ:90 ÷ 30 = 3ページ/日
  • Bさんのいつもの速さ:90 ÷ 45 = 2ページ/日

ステップ2:「ペースダウンした時の速さ」を計算する

  • Aさんの遅い速さ:3ページ/日 × 3分の2 = 2ページ/日
  • Bさんの遅い速さ:2ページ/日 × 2分の1 = 1ページ/日

ステップ3:「式の形の表」に整理する

「元気な時」と「疲れた時」の2パターンに分けて表に書き込みます。

状況 1日あたりの仕事量 日数 合計(こなした量)
元気な時(A+B) 5ページ/日 (3+2) □日 ?ページ
疲れた時(A+B) 3ページ/日 (2+1) △日 ?ページ
} 20日
} 90ページ

表を書くことで、これが第2回で学んだ「つるかめ算」であることが一目瞭然ですね!

ステップ4:つるかめ算で日数を出す

「もし、20日間ずっと元気なまま(5ページ/日)だったとすると...」と考えます。

  • 5ページ/日 × 20日 = 100ページ
  • 実際の90ページとの差:100 - 90 = 10ページ
  • 「元気」から「疲れ」に1日交代したときの差:5 - 3 = 2ページ減る
  • 何日交代すればよいか:10ページ ÷ 2ページ/日 = 5日間(疲れていた日数)

聞かれているのは「いつもの速さ(元気な時)で作業をした日数」なので、全体の日数から引き算します。

20日 - 5日 = 15日間

【答え】15日間

まとめ:仕事算は「ページ数への変換」と「表」で完全攻略できる

全3回にわたって「仕事算の裏ワザ」をお伝えしてきました。

どんなに複雑な応用問題でも、本質的なアプローチはすべて同じです。

  • 分数を使わず「最小公倍数」や「比」を使って、1日の仕事量を具体的な「ページ数」に変換する。
  • 途中で条件が変わったり、誰かが休んだりしたら、迷わず「式の形の表」に書き出して視覚化する。

この一貫した手順(ルーティン)を身につけるだけで、仕事算は「ひらめきが必要な難しい問題」から、「ルール通りに表を埋めていけば解ける楽しいパズル」へと変わります。

ぜひ、お手元の問題集の「応用問題」「発展問題」を開いて、この裏ワザを試してみてください。きっと、今までとは違う見え方になるはずです!

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この記事を執筆した講師
田畠 靖大(Tabata Yasuhiro)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)関東副代表・渋谷教室長。関東にあるSS-1渋谷教室を中心に多くの受験生を指導し、毎年難関中学に送り出しています。担当教科は国語・算数。論理性を重視しながらも、ソフトな語り口でお子様の課題解決に取り組みます。テストでの得点向上のみならず、科目の根本理解、体系理解を実現、得意科目に仕上げていきます。

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