【中学受験算数】割合の問題でこんな図を書く子は危険?

みなさんこんにちは。
SS-1算数科講師の日野です。
SAPIXでは6~7月に中学受験における最重要単元の一つである「割合」を扱います。
夏期講習で学習する「比」と合わせて、ここをどれくらい正確に理解し、使いこなせるようになるかが一つの分水嶺となっているのは間違いありません。
そこで普段のSS-1の授業で生徒がこういった解き方をしていたら、「ん、本当に割合が理解できているのか?」と不安になる事例を一つご紹介いたします。
「割合(2)」のテキストの問題です。塾の授業では線分図を書いて解説されることが多いのですが、もしご家庭で宿題をやっている際などにお子様が書いた図が下のような線分図だったら、要注意です。
例題:A君は昨日所持金の 2 7 と500円を使って本を買いました。今日は残りの 3 5 と200円を使って文房具を買ったところ、残金は600円になりました。A君の昨日の所持金は何円でしたか。
この図は、一見するときちんと文章通りの図になっているので問題ないように感じるかもしれませんが、実は割合の一番大事な部分を理解していない可能性が高いという大問題をはらんでいます。
ちなみに、塾の先生は授業で解説する際に、以下のような図を書いているはずです。
2つの図を見比べていただくと様々違いはあると思いますが、我々がプロ目線で一番問題だと判断するのが、
1つ目:割合を表す数字を図で囲んでいないこと
2つ目:基準が違う割合を違う図で囲んでいないこと
の2点です。その中でも、2つ目の方がより問題としては深刻です。
そもそも割合とは何なのでしょうか?
端的に言えば「比較」です。
それは割合の公式にもきちんと表されています。
公式:割合=比べる量÷基にする量
「比べる」ときちんと書かれていますね。そして算数に限らず、比較する際に最も大切なのは「基準」です。
例えば、地球は単独では「大きい」とも「小さい」とも判断できません。月を基準とすると地球は「大きい」となりますし、太陽を基準とすると地球は「小さい」となります。
そして、割合の最も大切な考え方の一つが「基準が違う割合は足し引き出来ない」ということです。例えば下のような例です。
どちらも 1 2 - 1 2 をしているのは同じですが、例①は0となりますが、例②は0ではありません。
なぜこのような結果になるかというと、例①は基準がどちらも「地球」で同じだから割合を足し引きできる、例②は基準が「地球」と「月」で異なっているから、割合が足し引きできない、という理由です。
ここで、話をもとに戻したいと思います。そもそもは割合で線分図を書いたときに下の図のような書き方をしていたら不安になるというところからスタートしていましたね。
2 7 の基準は「昨日の所持金」で、 3 5 の基準は「残りの所持金」で基準が変わっているため、この2つの割合は足し引きしてはいけないわけです。
そして、この2つの割合は足し引きできない割合ですよ、と表すために〇や□の別の図形で分数を囲っているわけですが、その意図や意義を理解していないから図で囲っていないのではないか?と不安になってしまうわけです。
そして囲み分けることで「比や割合をそろえる」というさらに一段階上のテクニックにつながるのですが、それをしていないということはもっと前段階での躓きにつながりかねません。
お子様の書いた図が上記のような図の場合は要注意です。ぜひ、お子様の理解を確認いただけたらと思います。
【ご家庭でのチェックポイント】
- 塾の先生の説明を聞いても理解ができない子は、まずは「腑に落ちるまで正しく習うこと」が最優先。「腑に落ちて」から「量をこなす」作業を進めましょう。やみくもに量をこなしても成果に繋がりません。
- 集団塾だと一人ひとりに合わせて丁寧に教える時間が無いことが原因で、理解できていないことがあります。お子さんの理解力のせいだけではないということを心に留めておきましょう。
夏に向けて算数の成績を何とかしたいとお悩みでしたら、最寄のSS-1の教室にご相談ください。無料の学習カウンセリングを行わせていただき、お子様に応じたベストアドバイスを差し上げます。
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この相談に答えた講師
日野 泰志(Hino Yasushi)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)算数科教務主任。関東にあるSS-1白金台教室を中心に指導しており、中学受験を目指すお子さんを難関中学に送り出しています。担当教科は算数。子ども達のノート、テストの徹底分析から、成績アップへの最短距離を的確に見つけ出す分析力に定評があります。 ポイントを押さえた分かり易い授業と、子ども達や親御さんとともに喜び合う、屈託のない笑顔に人
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