

…それはついつい表面上の言葉に騙されてしまうもの、というイメージがあるかも
しれません。
では、この騙しの達人である「たとえ」の正体は一体どんなものでしょうか。
皆さんの中には、「はっきりものを言わないこと!」という人もいるかも知れません。
確かにそれも的を射た(ものごとの大切な点を確実におさえること。ぴったり!ということ)表現ではありますね。
ですが、本当のところを言うと、
「伝えたいことを、関係のある別の言葉で表す方法」
となります。
これは具体的にはどういうことを言っているのか?
さらに簡単な例で説明しましょう。次の文を見てください。
(例)かな子はりんごのようなほっぺたをしていた。
これは決して、かな子の「ほっぺた(ほお)」が「りんご」であるということを言いたい
のではありません(ほっぺたがりんごで出来ていたら怖いですよね!)。
「ほっぺた」が「赤い」んだということを表したかったのですね。
では、「赤い」が「りんご」になるまでの道のりを整理してみましょう。
@「ほっぺた」が「赤い」ということが言いたい。

Aしかし、直接「赤い」と言うのもひねりがなくてつまらないので、何か別の言葉で表したい。

B全く無関係な言葉を入れてもわかってもらえないので、「赤い」色をしたものを代わりに使おう。
(青りんごじゃ「赤色」は思いつかないですよね!)

C「赤い」と言えば「りんご」かな?

Dじゃあ、「りんごのようなほっぺた」でいいか!

「たとえ」の完成!!
お分かりいただけましたか?
つまり、この「たとえ」という表現は、無くても文章としては成り立つのですが、たいていが「それじゃつまらないから」という理由で他の言葉に言いかえられているものなのです。
要は、
”「言い換え」の一つ”
であると考えればいいわけですね。
ちなみに、「たとえ」を見分けるコツとしては、
ようだ、ような、ように、みたいな、みたいに
という言葉を目印に探すととても楽です。
(ただし、高学年になるとこれらがない場合も多いので要注意ですよ!)
それでは、実際の問題で「たとえ」の読み取り練習をしてみましょう。
問題
─アナウンサーはさらに、私が一番聞きたかったことを質問した。
「宇宙では、人間についてどんなことを考えましたか。」
「私たちの存在の小ささです。」
「宇宙にいる時は、頼れるものは自分たちと宇宙船だけです。宇宙船の外は、はかり知れない未知の世界です。何が起こるか想像もつかないのです。もし、宇宙にひそむエネルギーの一部がふりかかっただけで、私たちは宇宙のもくずとなって消え去るのです。実際に、原因不明の故障がいくつも発生しました。自分たちは生きて地球に帰れないのではないかという不安がいつもアタマから離れませんでした。」
「まるでK大海をただようL一枚の葉です。」―
[問]
―線K「大海」L「一枚の葉」はそれぞれ何をたとえたものですか。
文章中の言葉で答えなさい。
(洛南高附属中学校平成12年 入試問題より)
解説
ここで問題文の聞いていることを確認しておくと、「『大海』と『一枚の葉』はそれぞれ何をたとえたものですか」とあります。つまり、「大海」と「一枚の葉」はどんな言葉の代わりなのかを聞いているということになるわけですね。
聞かれていることがわかったところで、読解の基本中の基本、
傍線部を含む一文を読む!
ということをやっておきましょう!
ここで、「たとえ」というものは先程も書いたように「関係のある別の言葉で表現」されるものですから、意味をきっちりと把握しておく必要があります。
するとこれだけでわかるのは、

これらを元の文に当てはめてみると…
―まるでおおきなもの(の中)をただよう少ない・小さなものです。―
となります。とてもわかりやすくなりましたね。
後は本文の中から(問題文の指示を要確認ですよ!)「大きなもの」と「少ない・小さ
なもの」に当てはまるものを探すだけです!
ここで大切なのは、その文章が一体何の話をしているかということになります。
本文を要約すると、「アナウンサーが実際宇宙に行った宇宙飛行士の人に対し、
その感想を聞いている」となりますが、その感想の詳しい内容としては、
―宇宙にいる時は、頼れるものは自分たちと宇宙船だけです。宇宙船の外は、はかり知れない未知の世界です。何が起こるか想像もつかないのです。もし、宇宙にひそむエネルギーの一部がふりかかっただけで、私たちは宇宙のもくずとなって消え去るのです。―
とあります。
もしかしたらここでピンと来た人がいるかも知れませんね。
そうです。
この話の中で「大きなもの」として話されているのは、「宇宙船の外は、はかり知れない未知の世界です」とあることから、「宇宙船の外」、つまり「宇宙」となるのです。
また、「小さなもの」についても、
「もし、宇宙にひそむエネルギーの一部がふりかかっただけで、私たちは宇宙のもくずとなって消え去るのみです」とあることから、「私たち」、つまり「自分たちと宇宙船」(宇宙のもくずと消えてしまうのは乗組員と乗っている宇宙船ですよね!)と考えることが出来ます。
つまり、これらをまとめると、「宇宙の中をただよう私たちと宇宙船」のことを言おうとしていたのですね!
以上が「たとえ」というものの正体と読み取り方になります。
ですが、さらなる理解のためにはやはり、いろいろな「たとえ」に触れていくことが不可欠です。
また、この「たとえ」を味方につけることができれば、物語文だけでなく、詩や俳句などの韻文にも対応することができますので、今日やった、
「たとえ」とは、「伝えたいことを、関係のある別の言葉で表す方法」
である!!!
という性質を忘れないで、問題をどんどん解いていきましょう!!
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