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長い間考え続けてきたことがあります。
それは『コミュニケーション』というものについてです。
コミュニケーションを辞書で引くと、以下のように定義されています。
コミュニケーション【communication】
社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。言語・文字・身振りなどを媒介として行われる。
確かにそうですよね。しかし、私はそこにぜひもう一言付け加えたいと思います。
それは、『互いに意思や感情、思考を伝達し合った上で、新しいものを生み出すこと』ということなんです。
人間がなぜ話し合うのかというと、それは話し合うことで何かが解決して、前に進むと期待しているからですよね。
もちろん、ディベート等のようにそういった議論自体を楽しむことが目的ならば話は別なのですが、家庭や会社などでのコミュニケーションは何らかの結論を得るために行うもののはずです。
そう考えると、伝達し合うだけがコミュニケーションでは困るのです。
その顕著な例をお話しましょう。
少し前のことになるのですが、あるお母さんからこんな相談がありました。
塾から呼び出しを受けました。
塾の先生がおっしゃるには、時として息子が手におえないことがあるというのです。
成績はよく、家ではおとなしい聞き分けの良い子なのです。にもかかわらず、同じクラスの子が少しでも気に入らないと手に持っているものを振り回して暴れるというのです。
受験のストレス?
親が子供に期待しすぎて、プレッシャーになっている?
いろいろと分析して、考えることは可能です。
でも、どの分析も分析するだけで、答えにはなっていないのです。
必要なのは、解決へ向かうための具体的な答えであって、あれこれと分析することではないと思うのですが、どうでしょう?
実は、こういうことは多くのご家庭で起こっています。
お子さんにかけられた予期しないプレッシャーに対する反動がどこで出るのかという違いだけであって、物を振り回すまではいかなくても、ご経験がおありでしょう?
さて、さきほどのお母さんに家でどのような接し方をしてきたのかをよくよく聞いてみると、ひとことでいうとお母さんは『ほめる子育て』をしてきたというのです。
一般的に多くの教育セミナーや本の中では、ほめる子育てが奨励されています。
お母さんは、それを実践されていたんですね。
とても勉強熱心ですばらしいことだと思います。
しかし、お母さんがご存じなかったことがあります。
そのためにお母さんは予期しないプレッシャーをお子さんに与えることになってしまったわけです。
みなさんは、ほめるという行為が大きく2つに分けられることをご存知でしょうか?
ひとつは、単にほめる。
もうひとつは、ねぎらいながらほめる。
この違いをおわかりになりますか?
例えば、90点を目標にしていたのに60点しか得点できなかったときを想像してみてください。
あなたはどのようにお子さんに声かけをするでしょうか?
今回は、「60点しか取れなかったの?これじゃあどうしようもないじゃないの!」というような声かけ(叱るだけ)は論外としましょう。
ほめるだけの場合は、「がんばったものね。残念だけどしかたないね。次はもっとがんばって、90点取ろうね。」でしょうか。
ほめる子育てを実践している多くの方はこういう声かけをされているようです。
しかしながら、この声かけには多くの欠点があります。
次の一文と比べてみてください。
「90点ではなかったけど、60点は取れたんだね。よくがんばったね。じゃあ次に90点にするためにどうすればいいかを一緒に考えてみない?」
違いがおわかりでしょうか?
通常の場合、お子さんは60点しか取れなかったことに罪悪感を覚えています。
しかし、同時にがんばったことを認めて欲しいという気持ちもお子さんの中に同居しているのです。
ですから、結果について、まずはほめる。
実際は90点取って欲しかった。
でも、「60点は取れたんだね」というわけです。
これによって、自分はダメなんだという劣等的思考がお子さんの中に根付くことを防止することができます。
そして、自分は大丈夫と考えられるようになります。
これを自己承認できた状態といいます。
それから、がんばったというプロセスについて、ねぎらう。
たとえ、お子さんの勉強時間が足りていなかったことが原因だとお母さんが思っていても、やりかたがまずいと知っていても、まずは「よく、がんばった」とねぎらうのです。
これによって、過去努力したことは無駄ではなかったという認識がお子さんの中に生まれます。
そして、よりよい結果をもたらすために、「一緒に考えてみない?」と提案することで、お子さんの思考が未来に向くわけです。
最初にあげた例だと、がんばったということをほめてはいるけれども、もっとがんばれ、がんばらなければならないというようにお子さんに伝わってしまうわけです。
起こってしまったことについて、「何で失敗したんだろう?」とただ反省したり、「あの時こうすればよかった」と後悔するのではなく、これからどうすればいいかという「学び」に変えることができるわけです。
反省や後悔を繰り返すと、結果としてお子さんに「自分はダメなんだ。能力がないんだ。」という思い込みを無意識の中に刷り込んでしまうことになります。
これでは、本末転倒になってしまうと思うんですが、いかがでしょう?
多くのお母さんが相談の中で「言っても聞かないんです」とおっしゃいます。
本当に??
コミュニケーションの意味は相手の反応でわかるという言葉があります。
このケースであれば、お子さんに90点取って欲しいとお母さんは思っているわけです。
つまり、90点取るためにお子さんが自発的に行動を起こすようにしたいわけですよね。
では、お子さんがそうするような言葉かけをしていくことが大切なんです。
そして、言葉かけを行った結果、お子さんが取った行動こそがお母さんがお子さんに伝えた言葉のほんとうの意味なんです。
そう考えると、お母さんが言葉かけの技術を持たれた方がよりよい結果を生み出せると思われませんか?
私の友人で高校野球チームのメンタルコーチをしている方がいます。
彼は、こういう言葉かけによってこのチームのメンタルマネジメントを行い、見事、今年春の甲子園に出場させました。
お子さんの持っている可能性を最大に引き出せる可能性を持っているのは、私たちではありません。
それは、お母さん・・・
あなたです。
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